トイロ

ココロ

Toyroメンバーのリレー・コラムです。ぜひ、お楽しみください!(代表・横川理彦)


時代の見える機材遍歴の一例
郷拓郎

今まであんまり振り返ってこなかったけれど、機材遍歴をざっくりまとめてみます。

確か小学5年生の頃、学校の宿泊学習なる行事から帰ってきた日、EPSONのPC-286というパソコンが家に居た。286はNECのPC-98シリーズの互換機ということで、広告のコピーには「国民機」のフレーズも用いられていたのだとか。
当時「マイコンBASICマガジン」なる雑誌があり、投稿されたゲームや音楽のプログラムが多数掲載されていて、学校から帰るなり、プログラム言語「BASIC」のプログラムを一心に打ち込んでは実行することにのめり込んでいった。掲載されているゲーム音楽のデータの、どこをどう変えれば音はどう変化するかを紐解き、法則性を見つけていったりした。
となると次にやることは、独自の楽曲を作ってそれを鳴らすこと。最大6重和音。メロディー、ベース、キック、スネア、残った2音はコードに割ける。それまで作曲したことは無かったはずだけど、BASICの素養のおかげか、作曲に難は無かった。とにかく早く完成させて鳴らしたいので、作曲は手短に済ませた。ベースの当て方もなんとなく一番正しそうな音を、コードチェンジが必要になるまで8分音符を連打することで事無きを得た。

中学に上がり、貯めたお小遣いで「ミュージ郎」なるDTMセットを買った。
シーケンスソフト「Ballade3」「Singer Song Writer(Ver.2)」とRolandのモジュール音源「SC-55mkII」のセット。
初めて数値ではなく五線譜に音符をポチポチと置いていく手法で打ち込みが出来た。のちにキーボードも買って演奏を記録・編集できるようになった。

高校に上がり、FOSTEXの白いHDR(HDに保存するMTR。今やHDRというと、テレビ番組を録画する機械のことになってますね)「DMT-8VL」を導入。音源の伴奏に合わせて、歌やギターを録音出来るし、midiケーブルでPCと同期させてさらに音源を足すことも出来た。ピンポン録音やEQなど、音量以外も司るミックスらしいミックスを覚えた。
メイン音源はRolandのJV-2080にグレードアップ。エフェクター類もちょっとずつ揃えて、あとはYAMAHAのQY-8というポータブルな音源+シーケンサーも…これは前述した「Singer Song Writer」のフィジカル版のようなもので、ジャンル、パターン、コード等を1曲ごとに指定するだけで、電車の中だろうが寝転んでいようが簡単に伴奏が作れた。ただ、この頃までのどの曲も、作るということがしたいだけでの産物だったように思う。

やがて専門学校に進み、校内の防音ブースにHDRを持ち込んで仲間と録音したり(ブース内にはMDに録るMTRが常設されていた…時代…)。相変わらず曲はふざけていたけれど、AKAIのサンプラー「S2000」やLine6のギターアンプシミュレーター「POD」等を入手したことで音の幅も広がった。
PCはHDが6GBとかだったか。その頃に使っていたシーケンスソフトは、「Logic」…それがやがてWin市場から撤退する頃には、「Cubase」シリーズに移った。やがてPC内でオーディオ(平たく言えば打ち込み以外の音)も録音できるようになり。当時使っていたRolandのHDR「VS-880EX」とおさらばしたり、ポータブルレコーダーを買ってみたり。
某大きな会社の音楽出版部門に通っては曲を聴いてもらったり、大きな会社の夏の大会に出たり。そうこうしてるとCMなど音楽の仕事を少しずつ頂けるようになっていた。2003年に発足したメインユニットdetune.は、紆余曲折を経てようやく2007年にリリース。
楽器的には、メインのアコギはGibsonのJ-45リイシューになり、小林武史さん宅のエレピ、Wurlitzer 200AをAct Against AIDS企画のチャリティーオークションで落札したり(家宝です)。

2011年になり3.11を経て、一時的に何も作れなくなった。仕事がなくなっただけではない。音楽を作ってる場合じゃないと思った。とにかく身が入らなかった。そんなだんまり期間を経て、いやいやそれでも動き出さなくては、社会を回す一端を担わねばと、PCを一新(当時自分史上、最高にお金をかけた!)。Native Instrumentsのソフト群「KOMPLETE」の導入も大きかった。とにかく集中して3rdアルバムを作った。
(あれ、Pro toolsはいつからいつまで使ってたんだっけ…思い出せない…Mbox 2 Proは昨年まで使ってたけど…)
さらに数年後、いくつかの素材の重い板群を買ってトンテンカンテンウィーーンとブースを自作して、家でも割と大きな声で歌えるようになった。全く部屋の外に聴こえてないということは全く無いと思うのだけど…気持ちの上でかなり楽に。一応時間帯は気にしている。苦情はまだ頂いてない。

機材を軸に振り返ってみたらやはり時代が見えてくる。個人的にも制作環境はここ5年ぐらいで特に飛躍的にアップした。去年だけでもPC、インターフェイス、マイクなど全体的に一新(現在のシステムについてはまたいずれ…インスタ等にもちょいちょい上げてます)。ここから先、どんなことになっていくのだろう。
音楽を作って頂いたお金を次の音楽作りに還元する…この流れはまだまだ止まりそうにない。

ところで、MacにいかずWinユーザーであり続け、iPhoneでなくAndroidユーザーであり続け、iPodは使ってたけど今やすっかりWalkman使いの理由は、自分でもよく分からない。特に困っていないのでこのまま行くと思う。あ…iTunesは使ってます(ほぼ、鈴木敏夫さんのポッドキャストを聴くために)。


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