トイロ

ココロ

Toyroメンバーのリレー・コラムです。ぜひ、お楽しみください!(代表・横川理彦)


続・趣味について
ゲイリー芦屋

全く趣味がなくて困っている、こんな事でよいのだろうか?…と前回のコラムで自問自答した件について、いよいよ具体的に行動を起こしてみた。そう、前回のコラムでも第1候補で考えていた登山である。今回のコラムはそのレポート。

 「人はなぜ山に登るのか?それはそこに山があるからだ」と有名な言葉を残したのはイギリスの登山家、ジョージ・マロリー…と今ググって知った訳だが、では俺はなぜ山に登るのか?。登山グッズを買ったり、脳内で登山のイメージを膨らませながら考え続け、辿り着いた答えは「登れば何か見えてくるかもしれない、そこで何が見えるのかを知りたいから登ってみる」だった。

 なんて書いてると少々大袈裟だが、とりあえず最初の山は予定通り高尾山をセレクト。登山系You Tuberの高尾山登山動画を色々研究してイメージトレーニングもばっちり、装備品も最終的に富士登山を想定した本格的なトレッキングシューズを購入して準備万端!ケーブルカーもあってお年寄りでも登れる低山なんてハイキング気分で十分だろう…くらいの舐めた気持ちで手持ちの適当なリュックにポカリだけつっこんだだけの装備で出かけたらとんでもない事に!

高尾山は八王子から電車で15分ほど、標高599mの低山で7つの登山路が整備されている。今回は登山初心者におすすめの6号路で登ってみた。

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山林を流れる沢沿いに登るルートで夏の日差しも穏やかな木漏れ日となって清涼感たっぷり、マイナスイオンを全身に浴びながら楽しく登山と聴いていたが…とにかく足元が悪くて木漏れ日を楽しみながら~なんて呑気な事いってるとすぐにすっ転んでしまう。足場をいちいち確かめながら歩みを進めないといけないから周りの景色を楽しむ余裕はあまりない。というか爽やかな山林というよりはシダが生茂る湿ったジャングルの中を進むような気分だ。

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登っていると上から下山してくる人とすれ違うのだが、あれ?こういう時ってどっちが道譲るんだっけ?…確かこれって登山マナーの基本で、どっちかが道を譲るんだったよな?ま、いいか全部俺が道譲れば間違いないだろ!あとで帰って調べよう(注:登る人優先が正解。なのでマナー違反でした!)。黙々と下向いて歩みを進めていると「これ本当に楽しいのか?」とかネガティブな感情がよぎる。同時に高尾山口駅まで聴いていたBadfingerの「嵐の恋」がエコーのように延々ループして止まらなくなる(なんかの曲が頭の中から離れなくなる事ってないですか?)。おれにとっての登山とはパワーポップってことなのか?

 それでもまだ「余裕余裕~!」とか思ってるものだから、途中何ヶ所か設けられている休憩所を全てスルー、水分補給もせずに登り続けていよいよシダの原生林を抜けると、ドーン!とばかりに目の前に数百段の階段が!。「うわーさすがにこれはきついぞ」とゲンナリしながら登り始めるが、ここまでの疲労の蓄積でもはや足が重くて上がらない。「嵐の恋」もいつの間にか鳴り止んで、一歩一歩手を足に添えながら階段を登っていく。まあ、階段が現れたって事はもう登った先は頂上なんだろう…。

甘かった。甘すぎた!

登り切った…と思ったらその上にさらに倍以上の階段が待ち構えているではないか!「あ、これはもうあかん!」とその場にしゃがみ込んでリュックからポカリを取り出しごくごくと一気に飲み干す。ああ、糖分よ!素晴らしき哉、糖分!!この小休止で多少体力気力が回復、階段後半戦に挑むが、足は変わらず重く息も絶え絶えでなんでこんな辛い思いをしてまで登っているのか?おれはバカなのか?どMなのか?。あーもう二度とごめん、帰りは絶対ケーブルカーだ!!

階段を全段上り切るとそこはベンチが並ぶ開けた休憩所だった。嵐の海を抜けるとそこは穏やかな凪だった的な。空いてるベンチにストンと座り込みしばし放心、周りを見回す。山頂は今度こそもう目の前のようだ。時間を見ると登山開始からすでに1時間半が経過。ひとしきり休んで気力を回復させてゆるい勾配を上がって遂に高尾山登頂!

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 いや~、高尾山なんて…と舐めた態度で登っていた自分をまずは反省!想像の数十倍ハードだった。これだけしんどい思いをしてまでやる事なのか?という自問は展望台からの景色を見て一瞬で吹き飛んだ。見つかった。何が?永遠が!いやいや、そんな大層な事じゃないけど、「ああ、これが見たかったから登ってきたのだ!」と。

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そしてこれからももっと色々な山に登ってみたい、そう心から思えた。

山頂でしばらく休みアイスなど食べて糖分を補給したら気力も回復、早速次の登山機会のために下山の練習!日和ってケーブルカーで降りてる場合じゃない。上りと同じ道だとつまらないから、帰りは最も長い稲荷山コースで下山することに。

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今回は下山だから楽だろう…などと油断はせず、覚悟を決めて一歩を踏み出す。しばらく階段を下る行程が続いたあと、尾根沿いに下るルートに入ると俄然道幅が広がって歩きやすくなり、なにより尾根を渡る風が涼しくて本当に心地よい。「ああ、山って楽しいな!」ここまできてようやく歩きながらそう思えたように思う。上りの反省から適度に休憩や水分、糖分を補給しながら順調に下山することができた。

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高尾山に登ってみたくらいではまだまだ胸を張って「趣味」と言えるようなものではないかもしれない。だけど何も生み出す必要もない自分一人だけで完結できる行動の自由さはあまりにも素敵だった。その自由さをもうしばらく追求してみたい…と、今はそう思っている。つまりまた登るよ!ってことで。ちなみに次は陣馬山から高尾山までの縦走コースと決めている。その日のために今からもう少し装備品を揃えておかなければ!(さらに続く)


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