トイロ

ココロ

ということで、2020の振り返り、Toyro作家・スタッフ一周しました。皆さん、いかがだったでしょうか。次回からは、一人一人をフィーチャーして、自由な内容のリレーコラムにして行きます。ぜひ、ご愛読ください。(代表・横川理彦)


2020年にふと聴いてみて印象に残った5曲
薄井由行
ハウサ族(西アフリカ)の街角の音楽 / ハウサ族

学生の時に図書館で借りて、耳にしたのが最初。久しぶりに聴いてみたくなったので購入した。一曲めの「ハウサ族の街角の音楽」は太鼓と声というシンプルな編成だが、始終サワリのような音がビンビンと鳴っていて格好良い。限られた音、あるいは限られた方法で作られた音楽は本当に面白いと思う。

Evryali / Xenakis

これも既に知っていたが、この曲を含めクセナキス作品の楽譜を色々と取り寄せたので、今一度じっくりと聴き直してみた。要素としては、確率的に散りばめられた音、樹形曲線に沿って並べられた音、ガムランのようなアプローチで刻まれた音(そして長い休符)。これらの方法をもとに生成された音群を、自由に差し替え、時には組み合わされ、16ビートに乗って展開していく。本作品はパートごとに異なる速度を与え、複雑な音の網の目を作り出す他の作品と違って、めずらしく終始一貫しておなじ譜割りで曲が進行する。この規則正しく、肉体から切り離されたリズムは、テクノとかにも通じるのではないだろうか。クセナキスの作った音楽はどれも、演奏家にとっても、聴く者にとってもスリリングである。高橋アキの演奏が素晴らしい。

Funeral Song / バナ族(ベトナム)

不意に某の作曲の方法論は?とか、あの地域の音楽は?等々、気になることがある。ここ最近は、ゴングを使ったプリミティブな音楽だった。この演奏はベトナムの少数民族バナ族によるもの。構造はいたってシンプル。各々が手にしたゴングを、異なるリズムパターンで叩くことにより、浮かび上がるメロディの音楽。音による編み物。構造とは裏腹で、聴こえてくる紋様は豊かで面白い。バリ島のガムランよりも素朴。大量の音を一人でコントロールするクセナキスのピアノ曲とは対象的だ。世界は広い。

Bhagyada Lakshmi Baramma / Kadri Gopalnath

サックスという楽器は、あまり馴染みがなかった。きっと特定の色が強すぎる故に、楽器の方から拒絶されているのだ。しかしガラムマサラを加えることで、一気に身近な存在となる。

Roots Bloody Roots / Sepultura

ひょんな事から出会う音楽がある。この曲はテレタビーズのMADムービーのバックに流れていて知った。彼らはブラジル出身のバンドで、ジャンルは「ヘヴィメタル」という事らしい。ハードロックまでは子供の頃に聴いていたので、なんとなく馴染みはあるのだが、このジャンルを一曲まるまる聴いたのは初めてだった。基本的に歪ませた音は好きである。音と自分との距離感までも歪みだす感じが、心地よいからかもしれない。関係ないがこの曲のように、歪ませた声(あえて名を付けるなら、ディストーション唱法という感じかな)を聴いていると、グレープフルーツとか食べる際に染みないのかな、とか気なってくる。西洋と違って、倍音を豊潤に含んだ音を好む文化のほうが圧倒的に多いので、人力によるディストーション唱法は、ベルカント唱法よりも世界的には(ここまで歪ませる事はないまでも)一般的なのではないだろうか。曲の感想に戻るが、合いの手に入るパーカッションが格好良い。


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