トイロ

ココロ

ということで、2020の振り返り、Toyro作家・スタッフ一周しました。皆さん、いかがだったでしょうか。次回からは、一人一人をフィーチャーして、自由な内容のリレーコラムにして行きます。ぜひ、ご愛読ください。(代表・横川理彦)


2020年 終わりと始まりの凝縮点
冷水ひとみ

暦の上では大寒に入り、ここから節分まで、京都は最も寒い時を迎えます。
築100年弱の日本家屋の我が家。リノベ物件とはいえ底冷えします。
当然、全身「裏起毛」ファッションで二重三重に身を固め、これをしたためているわけですが、「裏起毛」にもいろいろあり、通販で買ってみたものの、ショボい「起毛」でがっかりなんてことも多いのではないでしょうか?

この際、気をつけなければいけないポイントは、裏起毛<裏ボア<=裏ファーという基本。しかし、ボアとファーの差はかなり微妙で当てにならない。
これに「まるで毛布!」という謳い文句がドカーンと踊るモノが望ましい。
でも、そこでまだ飛びついちゃだめなんです。
更に配送方法をチェックすること!
「メール便可」の場合、案外ショボい可能性大。
「宅急便のみ」と厳しく注意勧告されたものを探す。
とはいえ、最近は猛烈な圧縮袋封入でペッタンコのパリパリにして、無理やりメール便可にする新手法もあり、一概には言えなくなってきましたが、これはある程度目安になるのではないかと思っています。
皆様、ご自分にあった「起毛」を獲得し、この冬を暖かくお過ごしください。


さて、2020年に私を唸らせた音楽動画をいくつか紹介します。



イチオシ!! ダントツ!! 昨年の大発見!!

Connotation / Panayitos Kokoras
ギリシャ出身 アメリカ在住? Kokoras 2015-6年の作品。
20世紀までの音楽の全てを消化しきりつつも、楽器の音というものは生かした今日の音が新しい。そして曲としてチャーミング。

Holophonyと名付けられた彼の手法において、楽器は弾くのではなく音を出す。その個々の音(Phono)が合成され干渉しあい全体(Holos)を形成する。
音色の波のヘテロフォニーみたいなことか、と思います。 詳しくは 彼のサイト でどうぞ。

彼の曲はすべて大好きになったので「大ファンになりました」などと、いちいち幼稚なコメントを投稿してしまっている自分が恥ずかしい。
どの曲も、カルテットなどもとてもいいけど、もう一曲、フルートソロをご紹介します。作曲はともかく、こういうの演奏する人、すごいですよね。

Cycling for Flute (2009) / Panayitos Kokoras

次に驚きの発見だったのは、もはや有名な人らしいが、Jacob Collier!
実は彼、「微分音もうたってますよ」ということで、その界隈で話題になったのがきっかけでした。そのこと自体には驚きません。「微分音」などというのがなにか特別なことである時代はとっくに終わっています。
もう、普通のちょっとした1手法にすぎない。
このJacobもごく普通に微分音を採用して、ごく普通にうたっています。

それよりも、ひとりであれこれ多重録音しているような僕ちゃんが「Bedroom Musician」という肩書きでクインシージョーンズ事務所に入るとか、POPSフィールドであるのに、Negative Harmony という、Ernest Levyの近代ハーモニー理論の講義をしたり、自分の音楽技法までも売り物にしていることが衝撃的に新しい。
「音楽理論が完全に消費されつくした結果に立脚した新しさ」という意味では、上記Kokorasと同じような種類の衝撃を受けました。

“今後、音楽というものはいったいどこに行けばいいんだろう?” と、私は常々案じているのですが、やっぱりきっと何処かに行くんでしょうね?

例えばこのフリンストン、見事なアレンジだと思います。

Flintstones / Jacob Collier

次はコンロン・ナンカロウ系と云うか、デッパ系というか、鍵盤バコバコ系。
“Speaking Piano” という検索でいくつか出てきます。
これは新しい感じはしないけれど、不吉さとレトロ感にギョッとします。
同世代のオーストリアの作曲家、Peter Ablinger 2009年初演作。

Deus Cantando / Peter Ablinger

鍵盤バコバコ系をもう一つ。次のは私にはたまらんやつで、もうこんなの作れる人がいるんじゃこの世はお終いだーと思いつつも、嬉しい発見でした。
Studio 31はスイスに拠点を持つグループで、純正律系微分音のルネッサンス時代の楽器の復元などをしていて、Walter氏はその作曲家のようです。
ヨーロッパは、楽器制作の伝統を守り続けていることに敬意を持ちます。
芸術的楽器ビルダーがいるから、こんな本格的な楽器が作れる。アメリカでは、もっとDIY感がある楽器になるように思います。それはそれで素敵ですけど。
実はこの楽器の原型であろうArchicembaloに、ボローニャの楽器博物館で遭遇したのです。それもSlapp HappyのPeterさんが「博物館に貴女のオルガンみたいなのあったよ。行ってきたら?」と教えてくださったのでした。
これはその親戚のような復元オルガンに自動演奏機能を加えたものですね。
レトロなバコバコ感が最高。

11 Elementare Akkordmechanik / Caspar Johannes Walter

ということで、急遽、締めはPeterさんに登場してもらいたくなりました。
この編成いいな。ほわん としますね。

それでは、本年もToyroな私達をよろしくお願いいたします。

Peter Blegvad and Slapp Happy - Concert

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