Toyroメンバーのリレー・コラムです。ぜひ、お楽しみください!(代表・横川理彦)
高校2年生ぐらいだったと思うのだけど、いつものようにエアチェックをしていて、気になる曲はカセットに録音。全然知らないアーチストだったのだけど「Family Affair」(’71)のイントロを数秒聴いて、すぐに録音したのだった。
当時は、スティーヴィー・ワンダーの「迷信」(’72)とかカーティス・メイフィールドの「Move On Up」(’70)とか、ソウルやファンクの決定的な名曲が次々に生まれて来つつある時で、ブリティッシュ・ロックにハマってロック・ギターを弾きたい一心の私にも、時々大きな謎としてファンクが忍び寄っていた。
その中でも「Family Affair」は何回聴いても釈然とせず、つい繰り返して聴く「奇妙な曲」だった。ウッドストックの「ハイヤー」とかベストヒッツ・アルバムの「Thank You」とかは明快なのに比べ、とても同じバンドの曲とは思えない。ローリング・ストーンズの「ギミ・シェルター」とかジミ・ヘンドリックスの「見張り塔からずっと」とも似てるのだけど・・・。
少し後にマイルス・デヴィスの東京公演(’73)をNHKテレビの「世界の音楽」で見た時に「これは本当にFamily Affairに似てる」と思ったものでした。
後に京都に上京してバンド活動を始めた時、わずかでもブラック・ミュージックを理解していたことは大いに役立ち、後にニューウェーブの波がきてリズムやサウンドの基準が変化した時にも、ちゃんと音楽的な意味がわかっていて対応できたと思う。
あと、キューバ音楽はかなり遅くまで理解できなかったけれど、ジョアン・ジルベルトを好きだったことも助けになった。この感覚は、自分の中ではブリジット・フォンテーヌの「ラジオのように」までつながっているのだけど、どうでしょう?