トイロ

ココロ

ということで、2020の振り返り、Toyro作家・スタッフ一周しました。皆さん、いかがだったでしょうか。次回からは、一人一人をフィーチャーして、自由な内容のリレーコラムにして行きます。ぜひ、ご愛読ください。(代表・横川理彦)


再考『筒美京平・マイ・ベスト10』
ゲイリー芦屋

 今回は昨年10月にお亡くなりになった筒美京平さんについて。氏の功績についてはもはや改めて書くまでもないでしょうし、私自身もかつて選曲・編纂で関わった和製ソフトロックのコンピレーションCDシリーズ『ソフトロック・ドライヴィン』で知られざる名曲など紹介してきました。

 ただ個人的に一つだけ悔いが残っているのが2011年に増補改訂されたP-VINE BOOKS「筒美京平の世界・増補新訂版」に寄稿した「筒美京平・マイ・ベスト10」です。真面目に考えて自分なりのテーマで選曲したプレイリストを入稿直前に破棄して「今きいた10曲」というある意味選曲を放棄した10曲を挙げました。京平先生の曲からオールタイムで好きな曲を10曲だけ選ぶなんて絶対できない…今にして思い返せばそんなような葛藤の果ての選択だったのだと思うのですが、ただただやめておけばよかったな…と永らく後悔していました。


 というわけで出版から10年目の節目と先生への追悼として改めてその時に公開するはずだった当初の選曲リストを公開したいと思います。テーマはズバリ
『太田裕美への筒美京平提供曲・ベスト11(但しシングルA面曲を除く)』。
シングルA面を除く…ってところがミソです(笑)。


 太田裕美さんは京平先生がメインライターとして松本隆氏と組んでアルバム何枚も丸ごと曲提供するなど力を入れていたアーティストで、中でもシングル曲は「木綿のハンカチーフ」を筆頭に名曲揃いで改めて紹介するまでもないでしょう。しかしシングルB面やアルバム収録曲の中にもそれらシングルA面曲に全く引けを取らない名曲たちが数多く存在します。私は京平先生と切り離した部分でアーティスト・太田裕美さんの大ファンでシングルを買い集めたり、ボックスCDを購入していたので、これらの知られざる名曲を紹介したいな、と考えて10年前にこのプレイリストを作りました。

 こうしてあらためてサブスク上にまとめて聴いてみるとなかなかこれからの季節にぴったりの軽妙洒脱な選曲になってると思います。


『太田裕美への筒美京平提供曲・ベスト11(但しシングルA面曲を除く)』

 1.スカーレットの毛布(松本隆/筒美京平/萩田光雄)
 2.クリスタル・ムーン(松本隆/筒美京平/筒美京平)
 3.銀河急行に乗って(松本隆/筒美京平/萩田光雄)
 4.四季絵巻(松本隆/筒美京平/萩田光雄)
 5.トライアングル・ラブ(松本隆/筒美京平/萩田光雄)
 6.Summer End Samba(松本隆/筒美京平/萩田光雄)
 7.心象風景(松本隆/筒美京平/萩田光雄)
 8.煉瓦荘(松本隆/筒美京平/萩田光雄)
 9.自然に愛して(松本隆/筒美京平/萩田光雄)
 10.青空のサングラス(松本隆/筒美京平/萩田光雄)
 11.魂のピリオド(松本隆/筒美京平/小倉博和)

(1)アルバム「海が泣いてる」収録。昨今のシティポップ的にも今聞くのは旬とも言えそう。(2)アルバム「ELEGANCE」収録。歌謡曲を完全に離れた筒美京平流ニューミュージック。この曲に限らずこのプレイリスト全体通しておぼろげにユーミンが見えてくるのは気のせいでしょうか?もちろん具体的にユーミンを意識されてたという訳ではないのでしょうが、分母とするものが同じだった結果として着地点が近かったのでは…と解釈しています。(3)アルバム「心が風邪をひいた日」収録。松崎しげる「銀河特急」もいいけど「銀河急行」もいいですよ。個人的には太田裕美アルバム曲ではベスト1というくらい好きな曲。75年という時代を考えるとこの曲の向こうに何を感じればいいのかとても悩むのですが意外とJigsawとかだったりして(笑)。(4)シングル「恋人たちの100の偽り」B面、アルバム未収録。「四季絵巻」は「木綿~」の世界に一番隣接した筒美京平節全開の名曲なんだけれど残念ながらサブスクでは配信されてないようです。太田裕美さんは基本的にアルバムとシングルは切り離して制作されていたので、アルバムだけではなくシングルも集めたくなりますね。本題からは外れてしまうけれど、個人的ベストB面は太田さん自ら作詞作曲のソフトロック曲「やあ!カモメ」(「ドール」B面)かな。(5)アルバム「こけてぃっしゅ」収録。(6)アルバム「ELEGANCE」収録。ど直球でマイケル・フランクスかセルジオ・メンデスかっていうようなAORなボサ曲。(7)「恋愛遊戯」B面としてリリースされ、そのあとのアルバム「こけてぃっしゅ」にも収録された。(8)楽曲の構成にそこはかとなくバカラックの影響を感じるけど、同時にどこまでも太田裕美の世界でもあって、それを混在させるのが京平先生のすごいところだなと改めて感じます。(9)アルバム「こけてぃっしゅ」収録。今回のプレイリストに3曲も入れているこの曲を含むアルバム「こけてぃっしゅ」は本当に名曲揃いで是非アルバムとしても聴いて欲しい1枚です。(10)76年リリース4thアルバム「手作りの画集」収録。(11)ミニアルバム「魂のピリオド」収録。松本隆ー筒美京平という布陣はアルバム「海が泣いてる」で一旦幕を下ろしたのですが、98年に20年ぶりに本作で復活。


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