Toyroメンバーのリレー・コラムです。ぜひ、お楽しみください!(代表・横川理彦)
冷蔵庫の扉を開けっぱなしにしながら中に入っているものを確認する時ってあるじゃないですか。わかりやすく言えば、RHYMESTERのアルバム「POP LIFE」のジャケットのようなイメージ。その日もいつものように、冷蔵庫の上段にある冷凍室の扉を開けて、その上に片腕を載せながら「冷凍の餃子があるな。あ、氷を買ってこないといけない」などと呟きつつ中身の確認をしていたところ、急にガコンッ!と大きな音がして、載せていた腕がブランと下がり、さっきまで目の前にあった冷凍室の扉がゴロンゴロンゴロンッ…と回りながら床の上を転がっていったんです。とても自然に、悠々と。「えっ」と思いながらそれを見送り、前方へ視線を返すと、そこには扉が外れて全てをさらけ出した冷凍室の姿が。恥ずかしげもなく。いや、いま思えば少し恥ずかしがっていたかもしれない。そのへんはちょっと本人に聞いてみないとわからないんですが。
「これはおそらく冷蔵庫が壊れたってことだな?」
と、事実関係の確認をしたのち、床に転がっている冷凍室の扉を拾って元の場所に嵌めようとしたのですけど嵌らない。押しても引いても直らない。元々嵌っていたわけだし、そもそも出荷される前に誰かが嵌めたもののはずだ。それなのに元通りになる気配がまるでない。なぜだ。世界はいつだって理不尽だ。しかし、その理不尽さを受け入れることも時には必要だ。そう独り言ちながら、ガムテープで扉を無理矢理固定してみたものの、「あ、これだと物の出し入れができないな?」と4秒で気づき、しばしの熟慮のあと、扉と本体をゴミ袋で包みこんでマグネットで固定するという画期的な方法を考案、冷気の漏れを食い止めることに成功しました。良かった。ひとまず、これで一安心…
…した日から今日で3か月、冷凍室がいまだにゴミ袋で包まれたままだとはわたし自身思いもしませんでした。安心感よりも意外性を重視してきたこの人生、こんなところにまでそのスタンスを反映させる必要があるのだろうか。いや、これは必要とかそういうことではないな。いま目の前にある事実そのものがわたしの選択、つまりわたしの人生なわけだから。壊れた冷蔵庫のような人生か。せめてノンフロン、迷惑をかけずに生きていきたい。
なんの話でしたっけ?ああ、冷蔵庫の話ね。そのようなことなので、早く新しい冷蔵庫を買わなければいけないのです。たくさんの思い出(ヨーグルトを7年間入れっぱなしにしていたこと等)が詰まった今の冷蔵庫と過ごす時間もあと少し。そう思うと、なんだか冷蔵庫のコンプレッサーの音も寝息のように聞こえてくるから不思議ですね。と書いたところで「不思議なのはお前の頭だよ!」という突っ込みが聞こえてきましたので、本日はここまでとさせていただきます。