トイロ

ココロ

ということで、2020の振り返り、Toyro作家・スタッフ一周しました。皆さん、いかがだったでしょうか。次回からは、一人一人をフィーチャーして、自由な内容のリレーコラムにして行きます。ぜひ、ご愛読ください。(代表・横川理彦)


100%受け身の音楽ライフ 〜バブみから厨二〜
辻林美穂

こんにちは(^ω^)最近、腸内環境を整えるためにいろんな乳酸菌飲料を飲んでいます。
良い菌たちは果たして生きたまま腸へ届いているのでしょうか?私はゴリゴリの文系であり、しかも勉強が出来ないので、わりと水素水みたいなものに騙されやすいです。乳酸菌もそういう怪しい類いなのかな?と疑いながらも、単純に美味しいので毎日飲んでいます。

さて本題ですが、私はなぜ音楽を始めたのだろう、今までどんな音楽を聴いてきたのだろう、と振り返ってみたところ、全部が全部誰かに背中を押されてきた30年弱だったな、と思ったので(自分で決めたのは音大進学ぐらいでしょうか)、バブみ溢れる時代から厨二時代まで遡ってみようと思います。
私の受け身ぶりを知りたいかたはぜひ読んでいってください。


幼稚園の年中さんになった頃だっだと思います。3つ歳上の姉がピアノを習い始め、「あんたもピアノ習うかい?」と母に聞かれて、姉の行動すべてを真似したいお年頃だった私は迷いなく「やりたい!」と答えました。練習が嫌いなので、結局エリーゼのためにがギリギリ弾ける程度にしか上達しませんでしたが。

ピアノを始めて間もなく絶対音感が身についた私は、クソガキオブクソガキな性格と大柄な身体にして、聞こえるものをドレミで歌いながら他の園児たちにマウントを取りまくる人生の幕を開けます。ここで「音楽だ」と認識したのが『歌えバンバン』でした。私立の厳しい幼稚園だったので、年中さんにして二部合唱というスパルタぶりだったのですが、そこで私は生意気にも、他の園児の前で偉そうに仕切ろうとしていた記憶があります。敵が多かった気がします。

V6が全盛期の2000年初頭。小学校中学年だった私は、彼らの冠番組『学校へ行こう!』を「みんなが観ているから」観ていました。番組内で流れる『Hello』が好きで、親にV6のアルバム『Volume 6』を買ってもらったのが、ジャニーズを初めてジャニーズと認識したきっかけでした。
(そういえば幼稚園のランニングのBGMがSMAPの『SHAKE』だったことをふと思い出した)

ほぼ同じ頃、地元のアマチュア合唱団が毎年クリスマス頃に『第九』を披露する、というものがあり、「気がついたら」参加していました。周りは60〜70代のおじいさまおばあさま。そのなかに、小学生の姉と私とほんの数人の子供。夏頃から譜読みを始め、秋に県内の催し物に参加しながら舞台に慣れ、最終的にプロのフルオケとソリストたちの後ろで合唱するのです。
秋の催しで、『遥かな友に』をアカペラで合唱する、というものがありました。しかしこの集団はなんてったってアマチュア。歌い進むにつれ、どんどんと音がずれていきます。私はそれを家で母に「みんな音痴で〜」と話しました。母が私に返したのは、「この…クソガキが…何言ってんだ」という言葉と、ゴミを見るようなまなざしでした。私のゴミ人生の幕開けです。

さらに同じ頃、「気がついたら」囃子(はやし)の子供チームに入っていました。私の住む地区にはそういったものはなく、よその町のチームにお邪魔するかたちで参加しました。静岡県の一部の地域では囃子のことを「しゃぎり」と呼びます。私はしゃぎりのなかで大太鼓や笛がかっこいいと思っていましたが、チームの皆さんからしたら私など「よその子」にすぎず、競争率の高いパートを勝ち取ることなどできませんでした。

鉦(かね)を左手に固定し、動物の角が先端についたバチでそれを奏でます。音階を示すものは笛のみ、あとはすべてパーカッション。丸、二重丸、三角などの記号を「チャン、チキ、チキリッチ」などと読み(記憶も朧げですが)、夏祭り当日は町ごとに戦います。つられずに演奏し続けたほうが勝ち。一生懸命にみんなで声を張り上げて演奏しました。『屋台』『雷電』などの曲があったと思います。鼻筋におしろい、目尻と唇に赤い紅を塗って、法被と足袋に身を包む機会も嬉しくて、良い思い出です。

またまた同じ頃、ピアノの先生の息子さんがチェリストという縁で、チェロを少しだけ習います。3年と続かなかった理由として、練習が嫌いだったこと、そしてチェロの音色が気持ち良くて演奏中にうとうとしてしまうことがありました。
ここで私は弦楽器の構造や音色や奏法になんとなく触れたことにより、今現在弦アレンジを好きでいられるのだと思います。勉強足りなさすぎますが。

またしても同じ頃、姉が吹奏楽部だったところからどう話が進んだのかもはや覚えていませんが、地元のビッグバンドに姉がバリトンサックスで入ることになりました。確か、テナーサックスが足りない!となって、未経験の私が入ることになります。ヤフオクで1万円で落札したヤマハのテナーサックスを担いで、地元のホールへ通いました。『Take Five』『How High The Moon』『危険な関係のブルース』『アンダルシア・チャチャ』など演奏しました。懐かしいな。
ここでも私は2年と続きません。練習が嫌いなこと、中学はバレー部に入ると決めていて、両立が難しいと判断したこと。そして一番の理由は、前歯を矯正することになり、サックスを吹けなくなってしまったからです。

長続きしなかったものの、私は「移調楽器の存在」を知ります。テナーサックスはB♭管。楽器でドレミを吹くと、出てくる音はシ♭ドレ。もう大混乱です。あと、ジャズ特有の音の重ね方を目の当たりにして、ジャズかっけー!となりましたが、受け身の私はここから自分で追究しようとはしませんでした。

娘2人がビッグバンドに入っていた影響か、元々好きだったのか知りませんが、母がジャズのCDを買うようになり、それを母の荒くて危ないスポーツカーの運転のなかでよく聴いていました。スタンダードな曲は大体聴いたはずですが、受け身人間はどこまでも受け身。曲名も作曲者も演奏者も頭に入れることなくバレー部の活動に明け暮れました。

中学時代は、私なんかよりもピアノが弾けて歌が上手い子なんてたくさん居て、幼稚園時代のマウント取りなんぞもうできません。合唱の伴奏に立候補するも、演奏オーディションで負ける。歌のソロパートになんか選ばれない。みんなでカラオケなんて行っても、私が歌うと上手くなくて微妙な空気に。
なんか人より出来てるかもー、と思っていた音楽(出来ると思っていたの謎すぎ)も、学校の勉強も、たった300人程度しかいない中学という場所でトップに立つことができず(生徒会立候補して落選してわろた)、ちょうど家庭崩壊も重なって自分を認めてあげる手段がなくなり、暗黒のネイティブ厨二病期に突入します。

たったひとりの姉とも別居してしまい、誰にも相談できなくなってしまった私はJ-popの力でその時期を乗り越えようとします。私にとっての音楽の情報源は、テレビの音楽番組(うたばん、Mステ、CDTV)、CMのみ。どう調べていったら良いのか分からなかったのと、自由に使えるお金(や田舎から東京のライブハウスへ行こうとする意思)がなかったのかな?と今思い返しています。バンプ、ミスチル、スキマスイッチ、レミオロメン、ポルノ、アンダーグラフなどを聴いていました。
この頃からいろんな音楽を知り始めたらどんな大人になってたんだろう。

山下達郎を知ったのはミスタードーナツのCMで、フリッパーズギターを初めて聴いたのは日産マーチのCMで。aikoを知ったのもカルピスのCMでした。洋楽も似たようなもので、オアシスの『Sunday Morning Call』を知ったのも車のCM。ビートルズなんてひどいです。地元のイトーヨーカドーで『Help』のインストアレンジバージョンが無限ループしているのを聴いていたのが初めてですが、それをビートルズと認識するのに随分と時間が掛かりました(なんでも鑑定団で流れてて一致した)。

こうやって振り返ってみると、本当に私は全然音楽を聴いてこなかったんだなと思います。しかもほぼ自分の意志でなく、誰かからの誘いだったりその場の流れだったり、もはや記憶になかったり。しかし、合唱、ジャズ、クラシカル、邦楽(囃子のほう)などの上澄みの上澄みを、チュルチュルと吸う機会。これが間違いなく今の自分の血肉となっていると思います。
最近は、自分が無知であることが楽しいです。これからいくらでも感動するチャンスが待っているので、先輩方の音楽や生まれたての音楽を聴いて肥やしにしていきます。上手くまとめたつもりですのでごきげんよう!


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