Toyroメンバーのリレー・コラムです。ぜひ、お楽しみください!(代表・横川理彦)
冷水ひとみ
43微分音オルガン壱号機を下宿させてもらっているEcho and Cloudスタジオにて、シジジーズ、悲願のNew Albumのレコーディング中です。
映像が大事な昨今、しっかり動画を撮ってドキュメンタリー的なレポートを書こうなどと、だいそれたことを当初考えていたものの、いざ、録音スタジオに入ると、やっぱりそれどころじゃなかった。流れ行く時間に逆らって音と時間を閉じ込めるという不自然な行為は、そうそう簡単にはいかないのです。というか、ほんと言うと、スマホでちまちま撮っていたはずの動画が、ことごとく失敗していたという話でした。床しか映ってなかったり、付属マイクがしっかりハマってなくてノイズだらけだったり。あーあ、残念。
それでも、短い動画など集めて、Google Photoの新機能、「ハイライト動画」というものにチャレンジしてみました。
ああ、下手だ。動画のクオリティー低い。やっぱりFinal Cut Proとかで編集しないとだめですねー。Ai使うと簡単にできるのかしら?
因みにゲストはパーカッションの立岩潤三さん、そして動画とれなかったけれどウッドベースの吉野弘志さん。
新しいアルバムには、シジジーズ流のプログレロックから、山村浩二さんの初期アニメーション「パクシ」にも使われていた可愛い曲の新アレンジ、アンビエント等、多彩な楽曲を収録しました。中でも特筆すべきは、西田ひろみのアラビックチューニングのViolinによる
”Taqsim Salam with Organ”(抜粋)
( 注:オーディオは別テイクのものを合わせています)
タクシームはアラブ音楽におけるSoloの即興演奏、聴かせどころです。Salamは「平和」。今回のアルバムタイトルは、ずばり「地球」。私たちの大切な地球の平和を願う、というのが隠れテーマだったりします。
アラビックのチューニングに非アラブの音階を持つ微分音オルガンを合わせるのは少し難しい、という体験をしました。1オクターブに43の音高をもつオルガンでも、微妙なピッチが合わせられない。音楽と音律、それは一体のものなのだと学びました。
このアルバムバージョンとは別に、このTaqsim Salamのフルバージョンを西田ひろみソロ作品として発表します。配信という形になるかと思いますが、シングル配信可能な10分ギリギリの9分59秒の大作です。ゆったりと浸っていただきましょう。
録音するにあたって、予想外に困難だったのは、微分音オルガンのコンディションがあまり良くなかったということです。最後に弾いたのはパンデミック前の2019年、ネットフリックスの映画「ディックジョンソンの死」の音楽を作ったときでした。微分音オルガンの内部には金属のリードが入っています。ほんの少しずつピッチが、たいてい下がります。経年変化というもので、またメインテナンスが必要なのかもしれませんが、これが、実はとてつもなくとてつもなく大変なのです。
壱号機、通称「金さん」の現在
微分音などを実践する人が増えましたが、ほんとうに細かい細かい計算をして「正しい」音律を追求する人もあります。しかしながら、音楽というものは「正しく」なくてもいい。耳で聴いて、心地よければ、楽しければ、面白ければ、いいと思うのです。このアルバムでは微分音の扱いという意味では、様々なアプローチをしています。普通に平均律と共存させていたり、モロ、不協和的だったり。最初にリンクしたスポットライト動画の最後の曲”Nearly Pure Mind”では、ほぼ純正の音程を扱っていますが、完璧ではなかったので一度デジタル処理で数値上の純正音程に編集してみました。が、元の少し壊れた純正に近い音程のほうが少なくとも私には魅力的に響きました。そういう体験はよくあります。理論上、こっちの音程が正しいのに、こっちのほうがしっくりくる、なんてこと。というわけで、壱号機、金さんは、現在の音そのままで収録。鍵盤のガタガタ音もそのまんま、です。
最後に、またまた低レベルな動画で申し訳ないですが、タイトル曲「Chi Kyuu 地球」をほんの少しだけ、スタジオの秋風景とともに。
“Syzygys-地球”、2026年春には発売できそうです。皆さん、よろしくね。