Toyroメンバーのリレー・コラムです。ぜひ、お楽しみください!(代表・横川理彦)
薄井由行
2月18日は、どこにも属さない日だ。
枯れた景色の中で、季節のギアが噛み合っていない。それでも気分は不思議と落ち着いていて、意識は外ではなく内へと向かう。生活は、良くも悪くも回っている。選択を重ねたほうがいい、という軽い焦燥感はある。それでも、別のことに意識が向かい、深く没頭してしまう。動くわけでも、止まるわけでもない。この静かな状態そのものは、嫌いではない。いまは、進む前の穏やかなアイドリングなのだ。
2月18日について、何か書こうと思っている。特別な理由があるわけではない。ただ、自分の中で、そういう流れを勝手に作ってしまったから。
今日という日付に生まれた人物の一人に、オノ・ヨーコがいる。1933年生まれ。彼女について個人的に強く印象に残っているのは、横浜美術館で開催されたヨコハマ トリエンナーレ2011で観た《TELEPHONE IN MAZE》という作品だ。透明なアクリルの衝立で構成された簡単な迷路を進んだ先に、電話機が一台だけ設置されている。運が良ければオノ・ヨーコ本人と会話が出来るというモノだった。本当に掛かってくるのかと疑っていたが、後日、実際に会話をしたという来場者がいたことを知った。結局、会話ができたのは、合計で何人だったのかは公式発表がなく、不明である。
1898年生まれのエンツォ・フェラーリ。跳ね馬のエンブレムで知られる(私を含めスーパーカー世代にとって、象徴的な自動車メーカーのひとつである)フェラーリの創業者も2月18日が誕生日だ。ところで、フェラーリと対抗馬(エンブレムは闘牛だが)のランボルギーニのオフィシャルサイト(2026年2月現在)の印象がとても似ているが、やはり互いを強く意識しているからなのだろうか。
その他の2月18日生まれの人を挙げるなら、天に指を突き上げる仕草でブレイクしたジョン・トラボルタ、「運は天に在り」と言った上杉謙信、映画『怪物』では天才子役二人と共に、印象的な演技を見せた安藤サクラ、宝塚史上最も成績が悪く、しかも極度のあがり症だったという天才シャンソニエール、越路吹雪、帝銀事件で有罪となりながら、獄中でも描き続けた数奇な生涯を持つ平沢貞通、ハンス・アスペルガーは、アスペルガー症候群を世に知らしめた小児科医で、やはり2月18日生まれである。天才アインシュタインも自閉症スペクトラム(ASD)だったのではないかという説がある。彼が宇宙の真理を解き明かせたのは、その特性を活かした結果かもしれない。真相は定かではないが、興味深い指摘である。
当然ながら、2月18日にこの世を去った人物も少なくないだろう。この日を記念日として刻んでいる出来事も、数多く存在している事だろう。
そのひとつとして、冥王星の発見日が挙げられる。一般的には1930年2月18日とされている。しかし76年後の2006年に太陽系の周縁部、カイパーベルトというところを回る準惑星に降格してしまった。
ちなみに、個人的に最も惹かれている太陽系の惑星は天王星だ。天王星は、ギリシア神話のウーラノスに由来し、天そのものを神格化した存在を意味している。最も魅了される点は自転軸がほぼ90度傾き、横倒しのまま公転しているところだ。この常識外れの姿を想像すると、ふと笑みがこぼれてくる。しかし海王星の存在によって「太陽から最も遠い惑星」という称号も持てず、色彩はあちらほど鮮やかではない。大きさも惑星の中では3番目に留まる目立たぬ星。
2月18日は、始まることもなく終わることもない日だ。
止まっているように見えて、時間だけは確実に進んでいる。かつて心を揺さぶった、中央に配置されたエンジンの音、平和を訴える、奇怪で圧迫するようなビブラートの女声、土曜日を満たしていた熱気も、いまではすっかり冷めてしまった。
薄井由行(文)
ChatGPT(編集協力)