Toyroメンバーのリレー・コラムです。ぜひ、お楽しみください!(代表・横川理彦)
Gak Sato
横川理彦さんとの共作アルバム”連歌”がスイスのWRWFWW レーベルからLP盤とダウンロードで発売されました。全曲視聴可能で、各サブスクでも聴けます。
前回4曲分書いた残り6曲分の、横川さんと振り返り対談の続きです。前回分と合わせて、聞きながら読んでいただけると幸いです。
A2 Domenica
Gak (G):この曲は横川さんが先導する曲で、イントロのリズムトラックがベースとなっています。そこに僕がベースラインを入れたり、グリッチっぽい編集をしたりしています。
横川 (Y):これ、最初120の5連って呼んでたやつですね。これは割と僕がリアルタイムの即興をやっている感じに近い。実際はいろいろ機械にやらせてる。
Gakさんとしてはどうなの?やってる時の感じっていうか、インプロを自分でやって、それを後からもう一回聴いて編集する感じかな?
G:曲の骨格が見えにくい曲だったので、まずベースラインを入れてみて、そこに変なシンセのフレーズを、メロディーとして弾くのではなくアクセントとして入れて、バランスをどう持っていくかという感じかな。だから、構造的に見ているというよりも、全体のバランスです。
Y:リミックス感とはまた違うところ?
G:リミックスとも違いますね。リミックスの場合は、全体が先にでき上がったものから要素を抽出する作業ですが、むしろ逆なのではないでしょうか。絵画の中で明暗のバランスを見て、「もう少し暗い部分が欲しいな」とか、「アクセントの赤が欲しいな」とか、そんな感じです。
A3 The Onliest
G:ミラノでGaMaPaWaという、ベースとチェロとトランペット、リズム系のトラック、それにキーボードとテルミンの4人組のバンドをやっていて、そこで取り上げようと思っていたのがこのドナルド・バードの曲です。 ジャズのテーマモチーフって重要ですが、このなんとも言えないテーマは、どうにでも転べそうだなと思って。
Y:モンクとかだと、曲の力が強すぎて、それを解釈していくのにこっちのものすごい音楽力が必要になるんだけど、 これは憂鬱な黒人系のブルース的な楽曲で、リズムも曖昧だから、割と自由に泳げる感じがする。
G:何風っていう感じがないじゃないですか。 リズム関係は横川さんが全部やってます。
Y:リズムマニア(笑)。これも多分5連を編集していってるな。
G:ピアノのソロを弾いて、そしたらテンポが変わったり、いろいろいじってもらって。
Y:いつもやってる方法なのだけど、5連を4拍子でやっているのを、4連で5拍子にするスピードチェンジを表に出して。
G:これ再現して弾けって言われたら困るんですよ。 ライブどうしよう。
Y:ドラムの荒井康太くんとか、キーボードの坂口光央くんとかだと、彼らは普通にできるんだよね。
G:これ途中でテンポアップしてますか?
Y:4拍子から同じ1小節の長さで5拍子にすると1.25倍になる。 ストレートな16ビートの5拍子になるんで。 最初は5連の4拍子で3連っぽいんだけど。 このやり方は今堀君に教えてもらったんですけどね。
G:途中から遅くなってるようにも聞こえるし。
Y:実質的にBPMを変えるんじゃなくて、同じBPMの中でリズムの取り方を5連を使ってる。
G:最終的に2バージョンのmixが出来上がって、美味しいところを2つに分けて合体させてます。
Y:これ聴けますね。 聴けるというのは、自分で面白いと思うという意味。一般的にはどうなんだろう。 これ。いわばメインですよね、このアルバムの。
A5 蛸薬師
G:これはほぼ僕は何もしてなくて。
Y:そうだっけ?何か僕がCDのシリーズでやってるようなことですね。
G:僕がやっていることは、横川さんから送られてきた音声ファイルのトラックをオーディオからMIDIに書き出して、違う音色を乗せたり、「まもなく降り口です、、、」というSEを入れたり、最終的にミックスでいろいろ遊んだりしてるくらいです。
Y:多分スケールを指定して、確率で自由演奏させたものに、後でGakさんに色々手を加えてもらってる。
G:このアナウンスは、成田空港に着いて動く歩道に乗ると、しつこく自動アナウンスされているお節介な感じが、日本に来たなって毎回思うんですよ。つい録音しちゃう。
B1 Big Boy
G:この曲は生バイオリンですね。いただいたファイルに僕がピアノのコードを足してて。
Y:これはピアノからメロディーを拾って、それで譜面化してバイオリンを弾いたのかな?
G:そういう風に聴こえますよね。コードの上で弾いている感じですね。キューベースのコードトラック機能を使い、オーディオトラックからコードトラックにファイルをポーンと入れると、勝手にコードが生成されるので、それを聴きながら良いか悪いかを判断して、手癖でつけてしまうコードと違う展開を考えるようにしています。
Y:新主流派のハービー ハンコック、ウェイン ショーターあたりが好きっていうのが非常に強い。 昔、サンクチュアリ(Bitches Brewに収録)っていうウェイン ショーターの曲をコピーしてみたら、普通の楽曲だったんでびっくりした。 そういう70年代中盤のアレですね。
B4 Gnade
Y:これはあれですね。いつもの調子でメシアンモードの5番を自動演奏させたものにGakさんにテルミンなど色々入れてもらったという。
G:メシアンモードでやっているということを知らずに即興的にテルミンを入れているので、そのモードからは外れている音が入ってますが、サントラっぽいですね。ちょっとエレファントマンみたいな。
B5 Flos
Y:これモーリス ラヴェルかな。平和にアルバムが終わって、いいですね。
G:”水の戯れ”のMidi ファイルを、全音符でクオンタイズしてメロディを無くしてますが、やっぱりラヴェルの響きが残っていますね。
Y:小節単位でクオンタイズしたMidi ファイルをもらって、それをちょっと音が抜けたりするアルペジオで加工した。
G:カラー写真を色分解して、その一色だけを抜き取ったものを基に、再び彩色するというような作業でしょうか。