Toyroメンバーのリレー・コラムです。ぜひ、お楽しみください!(代表・横川理彦)
加藤賢崇
お若い方はすでにご存知ないでしょうが、中高年の方々もお忘れと思いますけど、1990年代にCD-ROMというメディアがありました。
音楽用CDと同じモノに、パソコン用データを書き込む。
当時はパソコン用のハードディスクは容量が少なく、CDにデータを保存できることは画期的なことでした。まあ、CDの値段、ドライブの値段も高かったけど。
さらに、パソコン用のゲームをCD-ROMのパッケージソフトとしてリリースすることが「マルチメディア時代の到来」などと言われた時期もあったのです。画像と音声を組み合わせ、さらにアニメーションや映像まで。って、当時は切手のように小さい動画しか再生できなかったのに!
そしてコンシューマーゲーム、大手メーカーが出す家庭用ゲーム機のソフトも、セガのサターン、ソニーのプレステ、パナソニックの3DOなど、CDがベースになっていきましたね。
音楽界もその波にさらされ、先端的な活動をするミュージシャンはCD-ROMでタイトルを発表しないと遅れてるかも、というイメージになってしまった。
きっかけは、アメリカ西海岸でアンダーグラウンドの王様のような存在、目玉マークが有名なザ・レジデンツが「クリープショー」「ジンジャーブレッドマン」などのCD-ROM作品をいち早く世に出し、一般メディアにも高い評価を得て、もしかしてメジャーになるのかも?(ならなかった)と思わせたりして。
刺激を受けたメジャーな大物たち、デヴィッド・ボウイやピーター・ガブリエル、プリンスとか、日本のYMOまで、競って、かなりの予算と手をかけて、CD-ROMを制作していました。
しかし、本来の音楽だけのソフトと違って、今となってはどれも記憶されていません。メデイア自体が時代遅れとなって、顧みられることもなくなった。作品歴のプロフィールからも消されてる感じ。まだ音楽だけ、映像だけの作品にしたほうが残ったのに・・。
そんな時代に、筆者かとうけんそうもCD-ROMタイトルを2本、リリースしていました。
なんてことでしょう。あの時期は若くて、人気と勢いがあったのです! 今のしょぼくれ人生とは違って、そこそこ売れていたので!
AMラジオのニッポン放送で、インターネット時代の到来を予言した「秋葉原ヤング電気館」というラジオ番組で、当時は電脳アイドルとして人気絶頂の千葉麗子さんと一緒に2年以上もパーソナリティを努めていました。この番組制作チームがベースとなって、CDーROMを制作しようという機運になり、あのアミューズがプロデュースし、あのバンダイで発売するという、壮大な実験的プロジェクトとして!
ぼくが幼少から描き続けていた、キャラクターまんがをストーリー性のあるゲームとして構成した「がんばれ!いぬちゃん」シリーズ!
1作目は、いぬちゃんがさるちゃんやねこちゃんなどと、どうぶつバンドを結成して、インディーズからメジャーに成り上がるまでの「ロケンロール編」
2作目は、ビジネスドッグになったいぬちゃんが、世界中を旅行して英語を学習する「世界の旅編」
フルボイス仕様で、どうぶつたちの声優にも千葉麗子さんのほか、ナイロン100℃に所属していた昔なじみの友人である役者さんたち、犬山イヌコさんや三宅弘城くん、みのすけくんなどにお願いし、さらに松尾貴史さんやサエキけんぞうさんなど、先輩にも出演してもらったよ。
ほんと当時のまんがは、ギザギザ線のビットマップで、液タブも無い時代にマウスで手描きした、グダグダな絵の手作り感満載のゲームでしたが、よく大きなメーカーで数千円の値段で発売できたものだなあ~と自分でもあきれますけど、そんなのが許容される良い時代だったのです!
しかし、ラジオ以外にも様々なメディアでがんばって宣伝したものの、当然思った通り、セールスはまったく伸びず、申し訳ないので自分から3作目はやめましょうと言ってしまった。
やがてゲームもネット時代になり、CD-ROMドライブ自体を搭載したパソコンも市場から消え、2000年代以降、すっかり忘れられた存在だったCD-ROMゲームですが、
あれから30年という時を経て、この2026年になって、突然、ひょっこり日の目を見ることに!
YouTubeでは「ゆゆキチのレトロゲーム部屋」というチャンネルを運営して、Twitchのほうでは毎日、レトロゲームの生配信実況をやってる、ゆゆキチさんという方が、いぬちゃんゲームを取り上げてくれてたのです。
この回では前半1時間に「サボテンマン」という、ぼくも知らないゲームをプレイしてますが(それも面白そう)その後の1時間で「がんばれ!いぬちゃん ロケンロール編」をエンディングまでプレイしてくれてます。初めていぬちゃんを目にする、チャット参加者のみなさんのコメントも興味深い。
この動画配信を見たぼくが「続編の存在は知っているが、見たことがない」という、ゆゆキチさんに直接コンタクトを取り、データを提供させてもらったのが、この回で
前半1時間で「ロケンロール編」をストーリー選択を変えて再プレイ、そして後半は1時間半をかけて「世界の旅編」をプレイ、おまけのミニゲームにもチャレンジしてます。
レトロゲーム部屋に集まるみなさんにも、いぬちゃんの可愛さは伝わったようでありがたいことです。
現在はネット上に、そうしたレトロゲームを復刻アップしてプレイできるように再生したサイトなども存在しますが、いぬちゃんは上記のように、私の作品とはいえ、様々な方が関わった、意外に大手メーカーや事務所も絡んだプロジェクトなので、正規の復刻はむずかしいだろうなぁ~。
まさにそうやって消えていったロストメディア、数々あるんでしょう。しかし、少しでも発掘して記録を残そうとしてくれる世代が、さらに現れてくることを期待したいですね!(人まかせ)