Toyroメンバーのリレー・コラムです。ぜひ、お楽しみください!(代表・横川理彦)
Gak Sato
こんなレコードがあります。2012年にTACETという、オーディオファンには有名らしいドイツのレーベルが発売した「oreloB」です。LPレコードの一番内側、普通ならレコードの終わりの場所に針を落とすと、外に向かって溝をトレースしていくそうです。これは「Play backward(逆方向に再生)」と呼ばれるそうです。
実は、理にかなったレコードで、アナログレコードというのは、外周と内周で音質が違います。33回転の場合、1分間に33回転するので、60秒を33で割ると1.81818……つまり、1周約1.8秒かかります。外側も内側も回転の速度は変わらないが、針がトレースする距離は外側の方が余裕があり、内側にいくほど音の情報を短い距離にたくさん詰め込まなければならない。また、針と溝の角度は外側の方がより真っ直ぐに近く、内側に行くほど円の弧の角度が急になるため、ダイナミクスや高域の伸びは外周の方が断然有利だ。レコード全盛だった80年代までのアルバムでは、A面とB面の最後にバラード系の静かな曲が多いのは、そういった理由からなのでしょう。
さて、この特性を逆手に取ったのが、逆方向に再生するこのレコードです。小さな音から始まってエンディングまでクレッシェンドし続けるあの曲、そう、ラヴェルの「ボレロ」です。
公式の映像はないようですが、「oreloB」で検索するといくつか出てくるので、逆方向再生の様子を確かめてみたい方はチェックしてみてください。
肝心の音ですが、後半に向かってダイナミクスが上がっていくのに合わせて音質もクリアになっていく感じがあり、アガります。