Toyroメンバーのリレー・コラムです。ぜひ、お楽しみください!(代表・横川理彦)
荒木尚美
家電製品の修理を依頼した際、
「もう少し掃除をなさるといいですね。」
と、サービスエンジニアから言われたことがありますか?私は何度も言われました。
最初は、家電ではないですが、10代前半の頃、ピアノの調律師に、
「もう少し掃除しては?」
と言われたのが一番古い記憶です。
他のお宅のピアノの中がどうなっているのか全く知らないのですが、私の部屋にあったアップライトピアノは特に埃が凄かった様子で、
「せめて下前板だけでもたまには開けて掃除機をかけてください。」
ということだったらしいです。
私の母は掃除が苦手で、祖母(母の実母)が名古屋から年2〜3回遊びがてら泊まりに来て、隅々まで掃除してくれていましたが、母も祖母も、ピアノを弾かないので、ピアノ内部の掃除など全く知りもしないことだったでしょう。しかも、母は、調律師が来る時はいつも、費用だけ託して出かけてしまっていたので、ぼーっとした中学生の私に「ピアノの掃除を..」と言ってみても効果があるのか?あの調律師もげんなりしていたことでしょう。度が強い黒縁メガネのそれほど年配ではない男性だったと思います。彼が信じられないほどの量の埃を掃除機で吸い込みながら「ほらこんな風に」と言うのを後ろから見ていた記憶があります。
家電の話に戻ります。かつては、大手メーカーには必ず、都心に1~2件はサービスセンターがあり、修理依頼品を自分で持ち込むことがよくありました。プリンタ、オーディオ機器など、購入した家電店に持ち込んでも時間がかかるので、私も何度か自家用車で持ち込んだ記憶があります。
「症状が出ませんでした。内部を清掃しました。」
なんて感じで戻ってくることがよくありました。家電あるあるで、電源を抜き、時間をおいて通電し直すと、症状自体が出なくなるということがあったにしろ、かなりの割合で、内部に埃が溜まり過ぎていたのが不調の原因だったのではないでしょうか?
何十年も前、大型の掃除機を使用していた頃、一度、メーカーから無料でメンテナンスに来てくれたことがあります。ブラシにきつく絡まった髪の毛や、フィルターなども日頃やったことのない丁寧さで洗ってくれて、
「こんな風にお手入れすると、何十年も壊れない商品ですよ。」
と。そのような掃除が必要とは、説明書のどこにも書いていませんでした。
その次は、『お掃除不要エアコン』第一世代です。フィルターを全く掃除しなくていいという触れ込みだったので、当時結構な価格でしたが、引越しをきっかけに喜んで購入。エアコンを停止させた時、エアコン自体が内部を自ら掃除する機能だったのですが、その時の室外機の作動音が大き過ぎて、ご近所さんからの手紙がポストに入っていたことがあります。
「夜中に掃除機のような音がします。赤ちゃんが起きてしまうので、夜中に掃除機をかけないでください。」
申し訳なく思い、それ以来、夜中にエアコンを停止する時は、強制終了して掃除機能を使わないようにし、昼間、エアコンを停止する時のみ、掃除機能を作動させていました。
「エアコンを切る度、いちいちこんなに注意が必要なら、フィルター掃除する生活のほうがまし。」
と閉口していたら、購入後1~2年ほどで冷房が効かなくなり、修理を依頼。
家に来てくれたサービスマンは、基盤のようなものを丸々交換して、内部にたまった凄まじい埃を掃除して帰られました。実際に症状を見る前に、50センチ以上もあるような部品を既に持って来ていたので、リコールに近い意味合いと見受けられ、軽く、
「掃除しなくていいって商品っていうので買ったんですけど、本当は掃除したほうが良かったってことですか?」
と、質問してみましたが、それについては答えませんでした。売る側は、「おそうじ不要」と売り、サービスマンは「そんなわけないでしょう。そうじは要ります。」などと答えてはいけなかったのでしょう。終始穏やかな表情で、さっさと部品交換し、
「今日の修理は無料です。サインだけください。」
と、内部を掃除して帰ったベテランのサービスマンを気の毒に思いました。
結局、そのエアコンは10年も使うことなく、シンプルな機能の質実剛健で有名なメーカーの商品に買い替えました。
そして、某国の博士の名前の、あのステキな掃除機の話です。
我が家は、集合住宅の規約で、フローリング禁止カーペット敷なうえ、猫を飼っているので、強力な吸引力が必要と、最初は、国産メーカーの有名機種を購入しましたが、2ヶ月ほどで、限界を感じ、高額ではありましたが、あのステキな博士の掃除機をついに購入したのが、15年以上前だったでしょうか?最初は
「あーこりゃ素晴らしい!価格に見合うわー」
と褒めまくっていましたが、半年ほど経ったら、脅威の吸引力が普通の吸引力になってしまい、説明書を今一度よく読むと、
「こちらのフィルターは、1~2年に1回ぐらいの割合で水洗いしてよく干してください。」
と書いてあるのを発見。(普段吸い取ったごみは透明なプラスティックの筒をパカっと開けて捨てるだけなので、あれじゃありませんよ。)
「あれま、こんなところに蓋があるじゃないの!」
と、開けてみると、埃がつまりにつまっていました。『1~2年に一回』じゃなくて、本当は『1~2ヶ月に1回』ぐらいメンテナンスが必要なんです。だけど、そんなこと書いたら、めんどうくさい商品という印象になり、売れなくなるので、極力、書かないようにしているんでしょうね。または、全然汚れていない家基準で説明書を作成しているのでしょうね。
だけど、博士の名前のメーカーは先進的且つデザインも素敵で、我が家では空気清浄機能付きの扇風機も使っています。あれもフィルター交換の時期はちょっと盛っています。または全く汚れていないお宅基準なんでしょうね。
いい商品なので、悪口じゃありません。家電ってそういうものなんですね。
現在の我が家の掃除機は、博士2代目です。
これも、さらに進化し、吸引力や操作の軽さがステキで、
「ひゃあ軽い軽い!これは楽だ。歳をとったらこんなのが必要だよ」
と御機嫌で使っていると、半年ほどで、吸わない、途中で止まる、の症状。
まず、水洗いが必要なフィルターですが、あれ、説明書よりもっと高い頻度で洗わないとダメですし、説明書より熱心に洗い、説明書より長時間乾燥させないとダメです。それから、説明書に書いていなくても、本体や管に溜まった埃を歯ブラシなどで丹念に掃除しなければいけません。パカっと逆さに溜まった埃を捨てるだけ、と言ったって、その際まあまあ埃は飛び散るし、スケルトンな美しい部品も水洗いを頻繁にすべき見た目となります。
家事代行さんやホームヘルパーさんは、訪問先の掃除機を使って掃除するんですよね?
「わーい!博士の掃除機だ。軽い!吸引力よし!充電よし!」
って思うでしょうか?それとも、
「ついてないな。紙パック式じゃないのか。博士のメンテナンスまでアタシの仕事?何でだよ。」
って思うのでしょうか?
今、検索してみました。そもそも職業上の倫理で、利用者宅の掃除機の話なんか大声で話すもんじゃないかもしれませんが、うっすら「紙パック式」を喜んでいらっしゃる書き込みを発見。まあ、そうですよね。私も他人の家を掃除するなら、博士じゃなくて紙パック式がいいです。
博士の話に夢中になり脱線しましたが、3年ほど前、洗濯機を買い替えた時も、設置してくれた業者さんに、
「排水口もたまに掃除しないとダメです。ほらこんなに汚れていますよ。」
と言われました。我が家の洗濯機置き場は狭く、排水口の位置が洗濯機の真下に入るタイプで、掃除不可です。
「あー、はい。わかりました。」
などと返事はしたものの、洗濯機の説明書にはそんなこと書いていないし。洗濯機の重さからしても、ひょいと持ち上げられるものじゃありません。だけど、設置業者や、排水管清掃の業者は困っているんです。『お手入れ楽々』は彼らの敵ですね。業者さんの言葉がいつまでも心のどこかに陣取っていて、結局、つい最近、洗濯機の足元を嵩上げする防振ゴムを購入し、排水口に手が届くようにしました。
家電の『お手入れ楽々』盛りは、サービスマンにとって苦々しいものでしょう。購買者も『お手入れ楽々』盛りを全面的に信じたりしてはいけないという大人の常識の話です。洗濯機の排水口はまだ掃除していません。
それから、デスクトップPCの内部もたまに開けて埃を丁寧にとらないとね、と思い、私のMacを見たら、開けて掃除するような仕組みになっていませんでした。
「もう埃はたまらない仕様なんで、お手入れ楽々なんです。」
って意味でしょうか?
しばし、信用することにしてみます。